言語聴覚士の国家試験の合格率は他のリハビリ職種(理学療法士、作業療法士)と比べて例年低い。令和6年の国家試験の合格率は以下の通りである。
理学療法士:89.2%
作業療法士:84.1%
言語聴覚士:72.4%
端的に言って言語聴覚士の国家試験は他リハビリ職種と比べて難易度が高いと言えるだろう。その要因としては、1.過去問の(まるっきり)類似した問題の割合が少ないこと、2.思考力(判断力)を要する問題が多いこと、3.心理測定法、音響心理学がジャンルとして難しいことなどが挙げられる。
過去問との類似性が低いことを挙げたが、しかし出題されるポイント、キーワードまではある程度絞ることができる。問題としての問われ方、選択肢文としての出され方が変化してくる。また、選択肢の中に新出のキーワードが盛り込まれてくることもそれなりに多い。
これに対応するには、まず最初に各出題領域の基礎知識、キーワードを覚えることが重要である。まずは暗記である。土台となる知識がないと思考は成立しないためである。
次いで知識の整理が重要である。例えば、小児科学で学習するランドウ・クレフナー症候群という疾患は、失語症学や言語発達障害学でも出題されることがある。形成外科学で問われるトリーチャー・コリンズ症候群、ピエール・ロバン症候群、第一第二鰓弓症候群などは聴覚系医学や聴覚障害学の領域でも問われやすい。精神医学で学習する精神症状やパーソナリティ障害の知識は臨床心理学で問われることもある。このように複数の領域で必要とされる知識というものがあり、これらを手がかりに関連知識を整理すると効率よく得点力を底上げすることができるだろう。組み合わせ問題にも対応できるようにしたい。
そして最後に、文章読解力をつけることが重要である。選択肢文が文章であった際にその内容を正確に理解できないと判断を誤ることになる。落ち着いて注意深く文を読み、その内容を判断する必要がある。いわゆる学習言語の読解力が求められているのである。このとき、各選択肢文に書かれている内容とキーワードが頭の中で結びつけたら解答に自信が持てるだろう。ただそのためには最初に挙げたキーワードを覚えていないとここのレベルに辿り着けない。
本コラムでは次回以降、各領域の基礎知識を紹介していくと共に学習のヒントをご紹介していきたいと思う。